私のかみさま

――……


「おはようございます」

「おはよう。佐奈ちゃん」


水やりをしていたおばあさんにあいさつをして
荷物を置きに、店の奥にある休憩部屋に向かう

通りすがりに

ふと、何気なくカウンターに目を向けると
そこには、一輪の花が置いてあった


……配達用の花?


きちんとラッピングされている


一輪だけっていうのも珍しいけど

花束より一輪だけの方が
かえって映えることもあるんだ


思わず見入ってしまっていると
気付いたおばあさんが、それを私に差し出した


「はい」

「え?」

「これは佐奈ちゃんにって
すずが置いていったものだから」


とっさに受け取ってから、その名前に首を傾げる


「すず……?」

「私の孫だよ
いつもそこから、佐奈ちゃんを見てるあの子」


奥のドアを首で示されて、ああ…と思い至る


あの子の名前は、すずと言うらしい