「……俺にか?」


頷く


「…」


榊は無言で花束を受け取ると
今度は、その花束に視線を注ぐ


「ベルフラワーだな」

「……分かるんですか?」


自分が昨日、初めて知った花の名前を
榊はさらりと言い当てた


そして


「花言葉は、この場合はおそらく「感謝」か?」

「!」

「なるほどな。有り難く受け取る」


ひとり納得したように呟くと
榊は柔らかく目を細める


私はというと
こうもあっさりと簡単に
意図がバレてしまって赤面


……口で言い辛いから、花に思いを託したのに

まさか、本人が花言葉を知ってるなんて……



……。



両手で顔を覆って、ため息をつく



「そっちの花はサンダーソニアだな」

「……はい」

「花言葉は「祈り」」



続いた言葉はどこか懐かしそうで

思わず顔をあげる

榊は静かに笑って
供えたサンダーソニアを眺めていた