……本当だ


私が見ていた道は
あの子が書いてくれた道と比べると、確かに複雑



「……ありが……」



困っていた私を助けてくれたんだって

ようやく気付いて


お礼を言おうと口を開くも

ありがとうと言い切るよりも早く
あの子は走り去ってしまった







あっという間の出来事



……お礼、言い損ねた……



…………きっと
勇気を出して話しかけてくれたのに



「…」



うまく返せなかった自分に
少し落ち込みながらも

時間もなかったから
慌ててあの子がくれたメモを持って外に出た


その直前に、もう一度振り返ったけど


やっぱり、そこにあの子の姿はなかった