私のかみさま

それから


店に戻った私は
再び、いくつか近場の配達を頼まれて


わたわたと走り回っている内に
あっという間に日は暮れて



「今日の分はさっきので終いだね
ありがとうねぇ」


配達先のリストを確認し終えたおばあさんが
ご苦労様、と労いの言葉をかけてくれる


「…い、いいえ
こちらこそ…ありがとうございました」


慌てて頭を下げると
おばあさんは変わらず
穏やかな笑顔を返してくれて


「明日もよろしく頼むね」

「……はい」


そう言ってもらえることが嬉しくて

気づけば自然に、おばあさんに笑い返していた



――…



帰り道


ようやく、緊張から解放されて脱力する



…………なんとか、こなせた……



交わしたのは短い会話だけ

だけど、慣れない他人との
触れ合いは気力のいるものだった


……だけど


お客さんはみんな優しい人達で

向けられる気遣いや、あたたかい笑顔は
こそばゆかったけど、嬉しかった