「………………たすけて、欲しい………です…」



本当は、その言葉は伝えないで

別れを告げるつもりでここに来た


一言 謝って


もう2度と、ここには

このひとの前には現れないようにするつもりだった


自分勝手に振り回しておいて

今さら「助けて」なんて言えないって思った



……でも



だめだった



会って、話したら



もう本心を偽ることなんて出来なかった




「……ようやく
聞きたかった言葉を聞けた」


榊は嬉しそうに呟くと
しゃがみこんで目線を私に合わせる


「……」


自分のことのように
心から嬉しそうに笑う榊が視界に入る



…………このひとは、なんで……

こんなに…………



嬉しそうな笑顔の理由が分からなくて戸惑う

そんな私に榊は言い聞かるように言葉を紡いだ



「いいか、佐奈
自分を変えることは難しくない
変えたいと、変わりたいと望む
強い意思を持つことが難しいんだ」


「諦めは捨てろ。願いのために努力しろ」


「ゆっくりでいい
変わるために必要なものを育んでいけ」


「……頑張れるな?」



……



「……はい」



榊の問いかけに小さく


だけどしっかりと私は頷いた