『また会ったね』


(……うん)


相変わらず、姿は見えないけど
その声の主は前と同じ


『ねぇ、どうして泣きそうな顔をしてるの?』


向こうには、はっきりと
私の姿が見えているみたいだった


(……早く死にたいのに、死ねなくて)


『どうして?』


(誰かに助けられたから)


『助けられたということは
君を死なせたくないと思っている相手が
いるってことだよ』


『君を必要としている相手がいるということ』


(……)



そんな相手、いない


家族だって、私がいるから苦しんでる



私を必要としてる人なんていない




『気付いて。すぐ傍にいる』




――……





「…」




再び、目を覚ました時には
西日が眩しく部屋の中を照らしていた



……また、変な夢を視た



祈るような声が耳に残ってる



「…」



気だるい体を無理矢理起こして、立ち上がって


おぼつかない足取りで扉に向かう



……行かなきゃいけないって、感じた



あのひとのところへ