その問いかけに気を取られている間に
何かに気付いたその子供は駆け出した



「わぁ~っきれ~っ!」



社の方に顔を向ければ

真っ赤な夕日に染まる景色


それにきらきら目を輝かせる子供



「そうだな」

「わっ!」



そんな子供を、ひょいっと抱えて肩に担げば

きゃっきゃっと嬉しそうに騒ぎながら
広がる景色を目に焼き付けてる




「…」




『榊は今、幸せですか?』




……昔も今も
変わらず俺の幸せを願う相手がいる



あいつを

あいつのいるこの町を

あいつが残していくものを



そこにいる証がある限り

俺の存在が望まれる限り



俺はこの場所で見守っていく





「あのねあのね、さかき」


「ん?」



くいくいと俺の服を引っ張って



「ひなね、さかきにあえてうれしい!!」



無邪気に笑うその顔に



重なる面影



いつか見た、幼い頃のあいつの笑顔




「……ああ。そうだな、俺も―」










「幸せだ」