物怖じせずに
ぐいぐいと、俺に詰め寄ってくる子供

かなりテンションが上がっているらしい


「あのね、ままね
いまでも、いちばん
さかきがすきなんだって」


どうやら
それを一番に伝えたかったようで
伝えた後に、満足そうに笑う



「……そうか」

「ぱぱよりも、だいすきなんだって」

「それは、パパが怒るんじゃないか?」

「ぱぱはね、わらってる
ままのかみさまにはかてないからって」



この子供は話すことが好きらしい

聞いて、聞いてと、途切れることなく口を開く



「あのね、ひなね
ずっとずっと、さかきとはなしたかった」

「そうか」

「ままのおてがみ、つたえたかった」

「手紙?」

「まいにち、かいてる」



どうやら、あいつは俺に手紙を書いてるらしい



「さかきはいま、しあわせですかって」





――…『榊は今、幸せですか?』