「…すずさんにもいますよね。そういう人」


今、この子をここに繋ぎ止めている人


浮かぶのは
いつも優しく笑っている、あたたかい人

あの人の存在は
この子にとって、すごく大きなものだと思う







「……おばあちゃんは、昔から優しくて
あたしがこんな風になっても何も変わらなくて
両親に何を言われても
あたしが何も出来ない役立たずでも
ずっと傍にいてくれるんです」


顔半分まで覆い隠していた布団を
ゆっくり下ろして
泣きそうな顔で、あの子は力なく呟く


「…おばあちゃんに、甘えている自分が嫌で
だけど、ここから動けなくて…」


布団を握り締める手が震えてる

あの子は、詳しいことは
何も口にしなかったけど

表情や声から、後悔や懺悔
もどかしさや怒り、悲しみが伝わってくる


……この子が今、どれだけ苦しいのか


解る



「……花とか、好きなんですか?」

「…………え?」

「本棚に、花とか植物の本がたくさんあったから」

「………………は、い」


急に話を変えた私に
きょとんとした表情を浮かべた後
あの子は、答えづらそうに頷いた