「…………すずさん?」

「……!…は、はい……っ」


一秒毎に様子がおかしくなっていくあの子に
おそるおそる呼び掛ければ

あの子は、びくりと肩を跳ね上げて
裏返った声で返事をした


「……大丈夫ですか?」

「…だ、だ、大丈夫…です…」


……とても、大丈夫そうには見えない


丸まって縮んでいく体と一緒に
声量も小さくなっていく

怯えるように布団で顔を隠して
私から目を逸らす


……これは……いつもの反応…


さっきまで、やっぱり寝ぼけてたのかな


急にスイッチが入ったように
警戒心や人見知りやらを発動させる
あの子に、私は面食らう


「…」


私がどうこうの前に
他人と関わることを怖がってるって榊は言った


『話す』ことはコミュニケーションの一環


だけど『会話』で距離感を掴むのは
人によってはすごく難しいから


私がそうなように


だから、上手く自分の気持ちを言葉にするのが
声に出すことが出来ない気持ちはよく解る