会って話したら、また
あの記憶に飲まれるんじゃないかって
不安だったけど…

何ともないことに、ほっとする



「…来てくれて、ありがとうございます
人の気配があって…安心しました」


「…飲み物とか持ってきますか?
何か食べられそうなら軽いもの用意します
熱があるなら、熱冷ましシートとか…」


「いいえ。…傍にいてくれるだけで充分です」



ぼんやりした中に、確かな安堵の表情

なんとなく、いたたまれなくなって
思い付く限りの事をあげるけど
やんわり拒否される









……沈黙が辛い…



「……あの、…えっと…」



言葉がつかえる

続く言葉が見つからない


前みたいに記憶に引っ張られて
混乱したりはしないけど…

やっぱり、人との会話は難しくて
何を話したらいいのか分からない

この子が相手だと尚更


でも、それは私だけじゃなかったみたい


段々と意識がはっきりしてきたのか
どこか眠たそうだったあの子の目が
徐々に開いていく

表情も段々と青ざめて……


…………青ざめて?