私のかみさま

ほんの少し、話すのを躊躇うような間

だけど榊は口を開いた


……そういえば、そんな事を言われた



「それは境遇や
ものの考え方が似てるって意味だ」

「境遇?」

「ばあさんの孫も、親と上手くいっていない」



…。



「その事もあって
今はあの店、ばあさんの家に住んでいる」


「けど、外に出ることもままならず
ばあさんの仕事を手伝うこともできず」


「何も出来ず
役立たずでいる自分に苛立ちながら
それでも、笑って傍にいてくれるばあさんに
罪悪感を抱きながら、日々を過ごしてる」


「全く同じって訳じゃないが、似てるだろ?
お前に」


「自分を嫌って
自分を無価値だと思い込む所とかな」


「だからだろ
お前があいつに複雑な感情を抱くのは」


「自己嫌悪に同族庇護、否定に肯定
そういったものが、お前の中で混ざりあってる」


「ばあさんの孫の
その後の姿を簡単に想像できたのは
自分がそうだったからだろ?」