声が弾んでる
よっぽど嬉しかったんだろう


今、きっと笑ってるんだろうな

笑顔の花菜を想像したら、自然と口許が緩む



『射的でね、ぬいぐるみとったの
お姉ちゃんにあげるね、お土産』

「ありがとう」

『後ね後ね、海にも行ったよ
少しね泳げたの』

「すごいね」

『バーベキューもしたよ
お肉、いっぱい食べたよ』

「野菜もちゃんと食べた?」

『食べたよ!』

「偉いね」

『あとね、あとね……』



息つく間もなく、花菜は私に
聞いて聞いてと次々、興奮気味に話しかけてくる


…こっちでは、休みの日は私にべったりで
自分から外で遊んだり出掛けたりなんて
ほとんどしないから余計にテンションがあがってるんだろう


行くときはごねてたけど
満喫できてるみたいで良かった


お土産よりも
今、喜んでる花菜の声を聞けた事が嬉しい



『でね……』

「うん」

『……だったの!』

「うん」



まだまだ続きそうな花菜の話に失笑しながら
相槌をうつ




…………早く、会いたいな



花菜達に




そんな事を考えていると




『でね……、……っ!』


『…』


……
……
……



不意に花菜の声が途切れる



不自然に切れた声




「……花菜?」


呼び掛けても返事はなくて

代わりに

受話器の向こうから微かに言い合うような会話が聞こえる



……
…………すごく、嫌な予感がして……




微かに聞こえる『その声』に


受話器を持つ手がじわりと汗ばんで

心臓の鼓動ががどくどくと早まる