ことほぎのきみへ

「少し顔色も良くなったね」

「……うん」

「けど、心配だから今日は泊まってくね」

「………へ…?」

「ちなみに明日はゆーちゃんが来るから
で、明後日はまーちゃん」

「ち、ちょっと待って……亜季」


ん?と首を傾げる亜季に
私は頭を押さえながら
えーと……と言葉を探す


寝起きで頭が働かない……



……



「……だ、大丈夫だよ?
そこまでしてもらわなくても」

「だめ
いろちゃん、一度具合悪くなると
しばらく寝込むもん
しばらくいろちゃんファミリーいないんでしょ?」

「……それ、は……」


……言い返せない


体質なのか
亜季の言う通り一度寝込むとしばらくそのまま

回復するまで結構時間がかかる

その間は体も頭も重くて痛くて
ろくに家事も出来ない


今回の『これ』は
いつもの単なる風邪とか疲れとは
また違ったものなんだけど


それを知らない亜季には言えない


「それにさ、久しぶりに
いろちゃんとふたりでお話ししたいし
……だめ?」

「…」


こてんと可愛らしく小首を傾げて
きゅるんと上目遣いで私を見つめる


くぅーんと耳を下げる子犬の姿が背景にうつる


……
……亜季ってこういうとこあるんだよな……


甘え上手故の懐柔技
母性本能のようなものをくすぐられる



そんな風に言われてしまったら


断ることなんてできなかった