ことほぎのきみへ

突然背後から声をかけられる


「…えっと」

「足いたいの?」

「だ、大丈夫です」


知らない男の人二人組

きついたばこの臭いと、柄の悪さに肌が粟立つ

嫌な感じがして、とっさに後ずさる
けど、すぐ距離を詰められ
じろじろと頭から爪先まで舐めるように見てくる


「お姉さんかわいいね」

「社会人?学生かな?」

「あの、すみません
友達が待ってるので…」


親しげに話しかけてくる二人に
どくんどくんと、心臓が嫌な早鐘を打つ


声が震える

手足も


それでもなんとか
この場から離れるため頭を働かせた


「え~?
いいじゃん、一緒に遊ぼーよ」

「すみません、失礼します」

「そんなこと言わないでさ
飯でもいこーよ
俺ら車で来てるからさ」

「っ!?
は、離してくださいっ」


そそくさとその場を後にしようとするも
ぐいっと手首を掴まれる


触れられた場所から
全身に恐怖と嫌悪感が巡っていく

拒否しても引いてもらえず
強引に連れていかれそうになる


「は、離して…っ!」


力が強くて振りほどけない



どうしよう


怖い



こういう時はどうしたらいいの?

大声上げればいい?


……でも、亜季達がいる場所から大分離れてるし

まばらにいたはずの他の人も今はまわりにいない


それに怖くてこれ以上声が出ない


「…っ」


恐怖と動揺でどうしていいのかわからず
パニック状態に陥る

なにもできず、ずるずると引きずられていく



滲む視界


溢れる嫌悪、不快感



…怖い



怖い…っ



誰か



ぎゅっと目をつむった




「…ねぇ、それ犯罪だよ」