ことほぎのきみへ

ぎくしゃくした足取りで
悟先輩についていくゆうりを見送る


……少しでも話、出来ればいいけど


せっかく気になる人、出来たんだし
上手くいって欲しい



……



「…さて。私もその辺見てこようかな」


方便のつもりだったけど、話し相手もいないし
亜季達はビーチバレーやめて海に入っちゃったし


遠くの方で楽しげに笑っている亜季達が見える

大分深いところに行ってるから、私じゃ無理だ


立ち上がり、とりあえず歩く



「…」



波の音

潮の匂い

砂の感触



……気持ちいいな



…そうだ、花菜にお土産

貝がら拾ってこ



遊泳範囲内から少し離れた場所で

さらさらの砂の感触を楽しみながら
ひとり貝がら集めを始める

向こうよりも人もまばらだから探しやすい


さくら貝あげたいなぁ…
でも、中々見つからないんだよね、あれ


見つかるのは
スーパーでよく見かけるものばかり


大きな巻貝とかでも良いんだけど…ないなぁ



…
…
…



「…ん?あれ…?星砂だ!」


何気なく手にとって
掬って落として遊んでいた砂

よくみると星のような形をしてる


「え~っここで見られるなんて…」


思わず声をあげてしまう


特定の地域以外で見つかる例はないって
前にネットで見かけたけど


…こんなことあるんだ


思いがけない発見に胸が踊る


「…見つけると願いが叶う、星砂…」


有名なジンクスだ


「…」


…そういう願掛けや、迷信っぽいものは
あまり信じない方ではあるんだけど…


「…もう一度、会えますように」


そっと星砂に願いを落とす

パーカーの中にいれていた小袋に
見つけた星砂を入れ、小さく笑う


さくら貝は見つからなかったけど
花菜へのいいお土産が見つかった


「そろそろ戻ろ」


感覚的にはそんなに経ってない気がするけど
随分熱中しちゃったからな


立ちあがり
しゃがみっぱなしで痺れた足をさする


「いたた」

「お姉さん大丈夫~?」