ことほぎのきみへ

どうやら
ゆうりは恋に奥手のタイプのようで
意識した途端、動けなくなっていた

煮え切らない態度のゆうりに
痺れをきらした亜季は
立ち上がると、また皆の所へ行ってしまう





…亜季は悩むより行動、だからなぁ



「…はあー…
……亜季が羨ましい
なんであんなに言葉にできるんだろ」


膝を抱えて、深くため息をつきながら
ゆうりは眩しそうに亜季を見つめる


「亜季は相手にどう思われるか気にしないからね
自分がしたいようにしてる
私もすごいなって思うよ」


「……意識した途端
嫌われたくないなって思って
うまく自分を出せないの」


「…新幹線でゆまちゃんが言ってたんだけど
素の自分見せて離れていくような相手なら
それまでだって」


「取り繕っても、いつかはぼろが出るし
そもそもそんなの自分が疲れるだけだから
素を見せて離れていかない
傍にいて楽な人を選んだって」


どうして一樹と付き合ったの?
そう訊ねたら、ゆまちゃんはそう答えた


『一緒にいて楽で、楽しくて落ち着く
喧嘩は多いけど
言いたいこと言えてる証拠だから』


「…自分を隠すのは辛いもんね」

「…そうだね」


ゆうりの言葉に頷く


言いたいことを言えないのも

したいことをできないのも辛いことだ







『『やりたい』わけじゃないなら
しない方がいいよ』




…また


頭に響く言葉


どうして最近こんなに
些細な事から、あの人を思い出すんだろう