……無理もないと思う


私だって少し前までは
自分からこんな風に
行動を起こそうとなんて思わなかった


ゆうりの言うように
怖い気持ちの方が遥かに強かったし

今の関係を壊すような事をするのが
嫌な気持ちもあった



好きだって言って、拒絶されるのが怖かった

突き放されるのが怖かった



だけど、それでも




「……伝えたいって思ったの」




『本当にただの自己満足なんだ』


『全部、俺が自分のためにしたことだから』



……あの日


見せてくれた弱さや本音に心が激しく揺れて

気持ちが溢れた



「この人を支えたい、傍にいたいって」



ひさとさんの弱さも強さも優しさも


全部が好きだって強く思った




…………期待もあった




『どこにも行かない』


『ひとりにしない』


『いろはのそばにいる』




そんな風に言ってくれたから


……気持ちを伝えたら
受け入れてもらえるんじゃないかって


そんな淡い期待も





「……怖くない?……わけないか」

「うん……怖い
でも、いつかは伝えなきゃいけないことだから」



今だって、胸に抱えてる恐怖は小さくない

だけど


この先もずっと一緒にいたいなら

ちゃんと伝えなきゃいけないことだから



「………振られたらとか、距離を取られたらとか
色々……考える」



伝えた後の事を



「でも、『先』を考えすぎて
『今』をなくすのは嫌だから」



伝えたいって思った「今」

「今」のこの気持ち


「先」を考えて、考えすぎて


この気持ちを押し殺すのは嫌