「……寒い」


吐く息が白くなる



「はやいなぁ……もう冬なんて」


いつ雪が降ってきてもおかしくないような
分厚い雲に覆われた空を眺めながら、小さく呟く



「いろは。おはよ」

「いろちゃん、おはよ!」

「おはよう。ゆうり。亜季。」



待ち合わせ場所に現れたふたりに笑顔を向ける



「行こっか」

「うん」

「いこいこ~」



今日は久しぶりに亜季とゆうりと一緒に買い物


一足先にクリスマスの街を歩く

あちこちにきらびやかなイルミネーションや
ツリーが飾られ

お店の外観、ディスプレイ、ポップ
店員さんも呼び込みの人も皆、クリスマス仕様



「ついこの間が文化祭だったのに
もうクリスマスだよ」

「はやいね」

「亜季とゆうりはクリスマス、先輩達と過ごすんでしょ?」

「もっちろん!」

「……うん。約束した」


満面の笑顔の亜季
はにかみながら頷くゆうり

かわいいなぁなんて思いながら眺めていると


「いろちゃんは?」


と亜季が聞いてきて


「私は…まだ」

「ひさとさんと約束してないの?」

「うん」

「「まだ」って事は誘う予定?」

「……うん」


23日が亜季やゆうり、先輩達と
夏の旅行メンバーでクリスマスパーティー

24日は家族でクリスマスパーティー


25日は何も予定はない

だから思い切って自分から
ひさとさんに声をかけようって思ってた


と言うのも



「……告白、しようと思って」

「「……」」



小さく呟いた言葉に
亜季とゆうりは目を見張って

ふたりともその場に立ち止まって、固まる

同じように立ち止まった私をじっと見て


それから



「え、えぇー!!?どうしたの!いろちゃん!」

「前まであんなに怖がってたのに……」



かなり驚いた様子で声をあげる