………
………というか……



『この子は俺の』



…あの言葉と私の肩を掴む力強い手

近距離のひさとさんに

……私の心臓はどきどきとうるさいくらいに鳴って


私を助けるための
ただの方便だってことは分かってる

だけど


……
…………どうしよう……


うれしいし………………かっこいい……


ゆうりを助けに入った悟先輩みたいに
颯爽と現れて、助けてくれて


「…」


赤くなったまま

熱に浮かされたような思考回路で
ぼんやりひさとさんを見上げる



…………困ってる時にはいつも

この人は私を助けてくれる

なんてことのないように



「…………ひさとさん、助けてくれて
ありがとうございます」

「え?……ああ、どういたしまして」


未だに理由を考え込んでいたひさとさんに
声をかければ、ひさとさんはまた私を見て


「…………かっこよかった……です」

「…」



はにかみながらも、素直に伝えれば
ひさとさんは驚いたように目を丸くして

そっと私から手を離すと

何故かその手で口許を隠して沈黙



…………あれ…?



「……ひさとさん?」

「……なに?」

「…………もしかして、照れてます?」

「……そうかも」


僅かに頬を染めて
ふいっと目を逸らすひさとさん

見たことのないその表情に私の胸はまた高鳴って



「…」



……ああ、やっぱり私は

この人の事がすごく好きだって


緩みきった笑顔を浮かべながら


改めてそう思った