「ちょうど良かった
今、柳達のクラスに向かってたんだ」

「ドーナツ買いに来てくれようとしたんですか?」

「いや、わりぃ
そうじゃねーんだ」



ふっと
和やかだった雰囲気が、変わる



「……波崎、いるか?」



真面目な顔で
少し、ためらうように私に聞いてくる先輩



「ゆうりですか?
まだ休憩中だと思います」

「…そうか
んじゃ、また後にするわ」

「何か……」


あったんですか?と聞こうとした矢先に



「悟」


悟先輩の背後からつゆき先輩が現れて


「柳」

「お疲れ様です、つゆき先輩」


私に気づいたつゆき先輩にぺこりと頭を下げる


「ああ。話し中悪いけど
悟借りてっていいか?」

「なんだ?なんかあったのか?」

「まなぶがお前を探してた
多分、午後のイベント準備の件」

「……やべ、忘れてた
すぐ行くわ」


思い当たる節があったようで
悟先輩は焦ったようにそう声を返して


「じゃあな、柳
忙しなくて本当わりぃ
行くぞ、つゆき」

「ああ。柳、またな」


片手でごめんのポーズを取りながら私に謝ると
悟先輩はつゆき先輩を連れて
そのまま走って私の前から去っていった



……
……
……


「……聞くタイミング、完全に逃しちゃった……」