「そういう意味で好きなら
傍にいてもらいたいなら、傍にいたいなら
ちゃんと、伝えないと」


「失う痛みに怯えるのは、よく分かる
私だって、一樹がいなくなったらって思うと
苦しくなる、怖い」


「だけど、そればかりに目を向けて
先の事ばかり考えて
大切な『今』を、その時間を過ごしていくの?」


「…」



…………大切な、『今』……



「そうなる可能性は確かにある
だけど、まだ失ってないんだよ」



「その人は
いろはちゃんの声が届く場所にいるんだよ?」



……。



ゆまちゃんの一言一言がすごく耳に、胸に響いて


恐怖に支配されてた心に

前も感じたあの淡い…小さな光

小さな小さなあかりが、あたたかさが

灯って、広がる



……
……
……



「………………やだ…。
…………離れ、たくない……」


震える声で今の自分の気持ちを吐き出した



離れる、離れないじゃなくて

離れたくない



「……怖くても、不安でも……
それでも、傍に……いたい」



どうしても

失うことばかり考える
その未来や可能性ばかりを想像する


だから


苦しい、怖い




…………それでも……




離れるなんて、今さらできない





だって私は




「……ひさとさんが、好き」





あの人が





……1番、好きだから