ことほぎのきみへ

「……ど、どうしよ……」


ひさとさんの腕の中で途方にくれる



……
……
……


……でも


…………あったかい


私が体温が低いから余計にそう思う


それに


…………ひさとさんの匂い、落ち着く…


シャンプーなのか
柔軟剤の香りなのか分からないけど

すごく好きな匂い


とくんとくんと胸に響く穏やかな心音


聞いてると
早まっていた鼓動がつられて落ち着いていく



「…」



……こんな状況で本当に不謹慎だとは思うけど


……眠くなってきた…


眠気を誘うあたたかさ、音
リラックスできる好きな匂い


昨日も遅くまで文化祭の準備に追われてたし
本当なら休みの今日も
朝早く起きて、昼過ぎまで作業

そのままここに来たから


連日の身体的な疲れと、頭を使う考え事

続いていた謎の緊張感


体も心も限界だったのかもしれない



「…」



目の前で気持ち良さそうに眠るひさとさん

規則正しい寝息につられて

段々と私もうとうとしだして



そのまま深く、眠りについた





……





「…」



ふっと目が覚める

ぼんやりする視界と意識の中



「…………おはよう」



聞こえてきたのは

戸惑ったようなそんな声



「………ひさとさん……
なんで……そんなに
離れたとこにいるんですか……」



ゆっくり起き上がった私は、ぼんやりしたまま
部屋の隅に座り込んでいた
ひさとさんに目を向ける