ことほぎのきみへ

……なんだったんだろう


スマホをじっと見下ろして
?マークを大量に浮かべる


よく分からないけど、言われた通りにしよう

矢那さん、ほんとに焦ってるような感じだったし


「…」


と、その前に…


体に何もかけず眠っているひさとさんに
傍に置いてあった薄手の毛布をかける


「…おやすみなさい」


一言、ひさとさんにそう声をかけた瞬間


「…」


ひさとさんの目がうっすら開いて


……あ


起こしてしまったと焦る暇もなく



「…………へ」



力強くて手首を引かれて

バランスを崩した私はそのまま前のめりに倒れた




……




「…」



……気づいたら


ひさとさんの腕の中にいて



「……ひ、さとさ……?」


「…」



目を見張る私を、ひさとさんは無言で見つめて

さらに力強く抱き寄せる



「っ、ひさとさ……っあの…」

「…」



腕の中でもがきながら声をあげる私を
ひさとさんは気にもとめず

また、目を閉じた



「……ひさとさん?」

「……」



……え…

……
…………ね、寝てる?



聞こえてきたのは、また規則正しい息遣い



び、びっくりした……


……寝ぼけてたのかな


綺麗な寝顔を見上げながら
驚きで速くなってる心音をなだめるように
深く息をついた


「…」


密着したままの体

…………さすがに、色々意識してしまって

とにかく離れようともがくけど


「……んっ?」


眠ってるはずなのに
私の体を拘束してるひさとさんの手の力は
全然緩まなくて


「……あ、あれ……っ」


押しても、引っ張っても微動だにしない