「絵を描くのは好きだよ
けど、それで収入を得て
生活していくのは抵抗ある」
「…」
「絵を金儲けの道具としか
思ってない人間の言葉を聞くのも嫌だ」
……少なくとも
電話をかけてきた相手はそうなんだろう
分かりやすく
声に嫌悪感を滲ませる、ひさとさん
ひさとさんがこんなに嫌がったり
不快感を見せたりしたのは
初めてだったから、少しうろたえる
「好きなものを好きなように、自分のために描く
俺はそれで満足してる」
「……ひさとさんの絵には
それだけの価値があるって言われても?」
私が初めてひさとさんの絵を見たとき
惹き付けられる絵だと思った
相手の心を揺さぶる絵を描く人だって思った
芸術的な事なんて
何も知らない私がそう思うくらいだ
その界隈に詳しい人なら
更に違ったなにかを見いだす人もいるだろう
どれだけお金を積んでも欲しい
それだけの価値がある
そんな風に高い評価をつける人だって
「価値があるとかないとか
誰かに評価されるのも好きじゃない」
『絵』を『自分』を評価されるのは
嫌だとひさとさんは言う
「……親譲りの才能を生かすべきだとか
その技術を無駄にするなとか
それだけの腕があれば
いくらだって金を稼げるとか」
「同じことしか言わない人達にうんざりしてる」
……
「…美大に進んだのは
親との最後の約束だったから」
……最後の、約束……
「見聞を広めるのは悪くないって思ったからで
絵を、金儲けの道具にしたかったからじゃない」
高校もそういう美術系の学校だったらしい
ひさとさんは最初、美大に進学はしないで
普通に就職しようとしていた
ただ、その当時にご両親から
絵が好きならそれに関する知識を
知っておいて損はないから美大に行ってみたら?
と勧められたらしい
その言葉に共感したひさとさんが
そうすると約束した後
ご両親は事故で亡くなった
けど、それで収入を得て
生活していくのは抵抗ある」
「…」
「絵を金儲けの道具としか
思ってない人間の言葉を聞くのも嫌だ」
……少なくとも
電話をかけてきた相手はそうなんだろう
分かりやすく
声に嫌悪感を滲ませる、ひさとさん
ひさとさんがこんなに嫌がったり
不快感を見せたりしたのは
初めてだったから、少しうろたえる
「好きなものを好きなように、自分のために描く
俺はそれで満足してる」
「……ひさとさんの絵には
それだけの価値があるって言われても?」
私が初めてひさとさんの絵を見たとき
惹き付けられる絵だと思った
相手の心を揺さぶる絵を描く人だって思った
芸術的な事なんて
何も知らない私がそう思うくらいだ
その界隈に詳しい人なら
更に違ったなにかを見いだす人もいるだろう
どれだけお金を積んでも欲しい
それだけの価値がある
そんな風に高い評価をつける人だって
「価値があるとかないとか
誰かに評価されるのも好きじゃない」
『絵』を『自分』を評価されるのは
嫌だとひさとさんは言う
「……親譲りの才能を生かすべきだとか
その技術を無駄にするなとか
それだけの腕があれば
いくらだって金を稼げるとか」
「同じことしか言わない人達にうんざりしてる」
……
「…美大に進んだのは
親との最後の約束だったから」
……最後の、約束……
「見聞を広めるのは悪くないって思ったからで
絵を、金儲けの道具にしたかったからじゃない」
高校もそういう美術系の学校だったらしい
ひさとさんは最初、美大に進学はしないで
普通に就職しようとしていた
ただ、その当時にご両親から
絵が好きならそれに関する知識を
知っておいて損はないから美大に行ってみたら?
と勧められたらしい
その言葉に共感したひさとさんが
そうすると約束した後
ご両親は事故で亡くなった


