【短編】キミに伝えたい好きがある

だけど、不安そうに私を見つめる彼を見たら、もう半分怒りは収まってしまっていた。


眉を下げて叱られた子供みたいにしょげている彼に笑いそうになる。


私ってほんとに、遼ちゃんに甘いんだ。


だけど毅然とした態度でいなきゃ。


「・・・ごめん」


「知らない」


ぷうっと頬を膨らませて自分のカバンを取り返そうと引っ張ったけど彼は返してくれない。


「あの子と何を話してたのか教えて」


「たいしたことじゃないよ、富田は気にしないで」


気にするでしょ、そこは絶対。


彼は照れくさそうに後頭部をかいて目線をそらしている。