遼ちゃんと目が合うと拓くんはヤバイって顔をして、それ以上は教えてくれずに先に教室へ向かっていってしまった。


「わかった、言うよ」


遼ちゃんは諦めたように、ため息を吐くとようやく私の腕を離してくれた。


彼からちょっと離れて下からじっと覗きこむと、照れくさそうな視線とぶつかる。


「あの子に、お願いしてきただけだよ。
明日からはあまり俺のことを見ないで欲しいって。彼女が気にするから困るって言ったんだ」


「え、遼ちゃんが?」


うそー、そんなことを遼ちゃんが彼女にお願いしてくれたなんて、すぐには信じられないくらいだ。