え!

そんなに少ないのか…

知らなかった。

「ありがとう、紹介してくれて。」

「お金困ってんの?」

「うーん…椎名さんに頼りすぎてるから少しでも自立できるようにって。」

「お前…あいつらとも色々やってんじゃん、金貯まったら出てくの?」

え、考えたことなかった。

そっか。

たしかに今の私の貯金全てかき集めて、

もっとバイトもその他も頑張れば、

小さな古いアパート暮らしなら出来るかもしれない。

そっか…

椎名さんの元を離れるという選択肢もあるんだ…

でも…

もらったキーケースを手に取る。

居ていいって言われたから、

帰る場所だよって言ってくれたから、

もう帰ってくるなって言われるまでは…

椎名さんのお家に帰りたい…な…

「考えてなかった…けど、椎名さんに出て行けって言われるまでは…出て行くことは考えない、と思う。」

「ふぅーん…椎名さん彼女いんの?」

っ….

愛菜さんは彼女…なのかな。

でもベッドの近くにピアスあったし、

そういうこと…なのかな?

「いない…って言ってたけど…」