少し経って、椎名さんが戻ってきた。

「はい、これ。」

渡されたのは可愛いラッピングの袋。

…?

不思議に思いながら開けてみると、

可愛い水色のキーケース。

椎名さんは黒のキーケースを揺らしながら、

「キーケース、新しくした方が気分も変わるかなって。美夜の帰る場所だよ。」

そういって椎名さんのいえの鍵を通してくれる。

今まではスペアの鍵を必要な時だけ借りていたけど…

「ほんとに…?いただいていいんですか…?」

「俺が渡したいと思ったの!美夜にとって早く自分の家だって、帰る場所だって思って欲しいからさ。」

ふわりと優しく笑って頭を撫でられる。

嬉しい。

私は涙をこらえながら、

「っありがとうございます…」

精一杯お礼を言った。

椎名さんは、俺もお揃いで新しくしちゃったーなんて言いながら、

満足そうに笑う。

ほんと、ステキな人。

私たちの関係は、恋人とか、家族とか、はっきりしたものではないけれど、

私は椎名さんに恩返ししたいし、

椎名さんを大切にしたい。

曖昧な関係。

それでも、

とっても大切な関係。