「あー…そちらで好きにしてください。
あれはもう、うちのものではないので。」
はぁ?
「今後一切連絡は大丈夫です。」
…はぁ!?
その言葉と共に電話を切られる。
なんて親だ!
嫌がるあの子から電話番号まで教えてもらってかけたのに、これとは…
なるほど、だんだん読めた気がする。
あの子の体にある痣も。
あの子があの雨の中一人で裸足で歩き続けていたことも。
あの時、
仕事終わり、車まで歩いていた時、
ひとりの少女にぶつかった。
謝っても返事がなく、
不思議に思って振り返ると彼女は倒れていた。
何か縁を感じて、
ほっとくこともできなくて、
自分の家に運んで、
姉を呼んで、俺ではできない世話をしてもらって…今に至る。
着替えを終えて、姉はすごく機嫌が悪く、理由を問うと、
「あの子、顔も…だけど、体にも痣がたくさんあるの。」
と、怒りを含んだ答えが返ってきた。
…どれほどの闇を抱えているのか。
ほっとけない。守りたい。
そう、思ったんだ。