「湊くんに、椎名さんがいなくて寂しそうだったって教えてもらったんだけど…ほんと?」
湊め…涙が少し引っ込んだ。
椎名さんは嬉しそうに私を見て、
優しく私の手を取って、
また歩き出す。
手…あったかい…
「一人であの家にいるのは…とても寂しかったです…」
口にすると、
椎名さんが驚いた顔して、
すごい勢いで私の顔を見た後、
「嬉しい。」
って満面の笑みを浮かべる。
嬉しい…?
首をかしげると、
「同じ気持ちなのが嬉しいってこと!」
とご機嫌そう。
椎名さんが嬉しいならそれでいいや。
ふふっと私が笑うと、
椎名さんがさっきまで流れていた涙の跡を拭ってくれて、
「美夜、やっぱ笑顔も可愛い」
って少し照れながら言う。
イケメンすごい…
私は驚いて目をパチパチさせながら、
心の中で拍手した。
愛菜さんの反応は片隅に残っているけど、
さっきまでの孤独感はあっという間になくなっていた。
いつからこんなに単純になったんだろう…でも、嬉しいな。

