豆乳鍋を作るのにさっきまで近くにいた椎名さんのそばを離れると、
なんだか寂しくて。
あと、煮込むだけになってから、
勇気を持って横に座ってみる。
初めは椎名さんも驚いてて、
やっぱり離れようかなと思ったら、
椎名さんの左手が私の方に置かれて。
チラッと椎名さんが私を見たから、
嬉しくなって、手を重ねた。
まではいいのだけど。
今までにない自分の積極性を発揮したおかげで、
この後どうすれば良いのか…
でもやっぱり椎名さんに触れてると、
あったかい気持ちになれて、
落ち着くな〜…
ピピッとタイマーが鳴って、ハッとする。
「お鍋!」
私は立ち上がってお鍋のもとに走る。
よかった、吹きこぼれてない…
味見をして、
「うん、美味しい!」
お皿を並べていると、椎名さんがやってきてお鍋を運んでくれる。
「あっ!ありがとぅ…ございます…」
顔を見てお礼を言おうと思ったのに、
さっきの自分の行動を思い出して、
思わず目をそらしてしまう。
頭上から笑う声がした。
むー…バカにされてる…