飼い主の溺愛


玄関で美夜を下ろすと、

「あ、ありがとうございました…」

と早口に言って、靴を脱いで慌てて先に入る。

もう8時前か…

「晩御飯どうする?食べて帰ればよかったな。」

と美夜に声をかけると、

早業のごとく服を着替えた美夜が、

部屋から出てきて、

「軽くすぐに作りますっ!」

と、スリッパをパタパタさせてキッチンに向かう。

俺もうしろにつづいてキッチンに入ろうとすると、

座っててください、と押し出された。

でもやっぱり美夜が意識することなく、

俺に触れてくれるからだいぶ嬉しい。

言われたとおり、部屋着に着替えて、

ソファに座って仕事の整理をする。

今日は鍋かな。

いい匂いが部屋に広がる。

なんかいいな。こういう感じ。

「豆乳鍋にしますね!あと10分くらいでできます!」

と美夜の声がする。

「了解、ありがと。」

返事をして仕事を整理していると、

お茶が置かれる。

ほんと、気配り上手だな、と、

お礼を言って受け取る。