美夜を見送って、

ダイニングに戻ると、お弁当が置かれていた。

え、忘れていった!?

と思って慌ててお弁当に近づくと、

美夜らしい猫のメモに、

『要らなかったらそのままで大丈夫です』

と書かれていた。

持っていってください、とか、

食べてください、じゃない言い方が

すごく控えめな美夜らしくて笑う。

お弁当を持って俺は下に降りる。

「おはよー」

「おっすー」

あちこちから帰ってくる挨拶。

ここは俺の仕事場で、俺の住むところは、

この仕事場の上にあって。

ここで働く社員はみんなこの建物で生活している。

といっても、社員は、俺含め、6人だ。

全員高校からの腐れ縁でもあり、

みんな同じ家で生活している。

まだ美夜には会社経営をしていることも、

俺の職業も、

この家の仕組みも伝えていない。

どんな反応すんだろ…