飼い主の溺愛


え、髪の毛?

私が驚いていると、

「あ、いや、怖かったらいいんだけど。」

と、椎名さんが続ける。

怖くは…ない。

「怖くはない…です」

鏡ごしに椎名さんを見ると、

優しい笑顔で私を見ていて、

なんだかいたたまれなくなって、

すぐに目をそらした。

「んじゃ、ちょっと我慢しててな〜」

そう言って、髪の毛を触って、

数秒考えたのちに、

慣れた手つきで髪の毛を巻いていく。

そのあとサイドを編み込んでくれて、

ポニーテールもどうしたらそんなおしゃれにできるんだろって思うくらい、

おしゃれな髪型にしてくれた。

「すごい…」

「また今度教えてあげるよ。」

お礼を言うと、ん、とニコッとして、

歯磨きを始める。

な、何者なんだろ、本当に。

私はもう一度お礼を言って、洗面所を出て、キッチンに向かった。