「…やだ!」
慌てて走ってて椎名さんと由梨さんの間に割り込んで椎名さんに抱きつく。
いや。
いやだよ。
椎名さんを持っていかないで。
椎名さんを私から奪わないで。
「由梨さん…どうしたの。」
椎名さんの声。
やだ、今名前呼ばないで。
私は椎名さんの胸の中で、
首を振る。
椎名さんは、そんな私を強く抱きしめてくれて、
「美夜、ごめん。」
なにに対する、ごめん、ですか?
由梨さんのもとに行っちゃうの?
「…美夜ちゃんごめんね、晴翔じゃなきゃだめなの」
っ!
そんなの、そんなの、
由梨さんみたいな素敵な女性に言われちゃったら、
私はどうしたらいいの、
「…」
「美夜ちゃんは、クロくんだって他の同級生だっているじゃない。私はいろんな人と出会ってきたけど、晴翔じゃなきゃ…だめなの。…ごめん、いやな女なのもわかってて自分でも今混乱してるんだけど…晴翔がいいの…」
そんなこと…
確かに私は、付き合うのだって、椎名さんが初めてだけど…
由梨さんみたいに大人な女性じゃないけど、
でも椎名さんしかいないんだもん。

