美夜が首を振る。
いや、でもなぁ、
俺はクロくんを見る。
美夜との変化を感じているのか不機嫌そう。
俺がもしクロくんの立場なら、
好きな女が同じ家で他の男と同じ布団で寝る、なんて聞きたくないし、
絶対嫌だ、と思う。
すると、今度は本当に電話がなる。
表示を見ると、「由梨さん」。
何気なく電話をとる。
「どうしました?」
『あ、晴翔、ごめん起きてた?』
「はい、大丈夫ですけど、」
『ごめん、忘れ物したかもと思って…』
忘れ物…?
俺は美夜たちに合図を送って、ダイニングの方に移動する。
由梨さんが座っていた席の辺を探す。
「何忘れたんですか?」
『…いや、ないならいいの。』
「え、探しますよ、何を……」
途中まで話して止まる。
これ…
机の下に落ちてた、キーホールダー。