「え。」

椎名さんの久々の声で我に帰る。

え。

今、私、何して、なんて言って…

カーッと顔に熱が込み上げる。

「え、美夜、今なんて…」

「わ、わーーーー!」

「ちょ、美夜!」

私は椎名さんの制止を無視して、

部屋を飛び出す。

否、飛び出そうとして、

扉のノブに手を伸ばしたところで

椎名さんに抱きしめられて固まってしまった。

だって、

だって、椎名さんが宝物を抱きしめるみたいに、

私を強く抱きしめるから…