「お、怒ってないんですか…?」

それを確認しないと近づいちゃいけない気がして、

尋ねる。

「怒ってないよ。」

椎名さんの言葉と優しい目に、

安堵して、

私は椎名さんにゆっくり近づいて、

椎名さんの腰に腕を回す。

「椎名さん、わがまま言ってごめんなさい…」

「可愛いわがままだからむしろ嬉しかったよ。でも、気をつけて?」

可愛いわがまま?

気をつける?

「美夜、深く考えずに、男と同じ布団に入りたいって言っちゃダメだよ。何があるかわからないんだから。」

男…

何があるかわからない…

「男じゃなくて、椎名さんだからです。椎名さんだからっ何かあっても「ストップ。」」

言いたかったことを途中で止められる。

顔の前には椎名さんの大きな手。

「あんま簡単に煽んないで。」

煽る…?

首を傾げてると、顔の前にある椎名さんの大きな手の隙間から椎名さんの顔が見える。

「椎名さん、真っ赤…」

私の発言に椎名さんは顔を逸らして、

手で私の顔を覆う。

「誰のせいだと…見ちゃダメ。」