「若いっていいわね。」
後ろから聞こえた声に振り向く。
由梨さんは続けていう。
「すっかり敵認定されてるみたいね、ふふ。」
楽しそうに笑う。
まったく、面白がってるな…
「負けないようにおじさんは頑張りますよ。」
なんて返しながら、
殻になったグラスを受け取って、
コーヒーを注ぐ。
ミルクひとつと、砂糖二本を入れて、
渡す。
「覚えてるのね。」
そう言われてから、自分に驚く。
「数年前とはいえ、習慣って怖いですね。」
苦笑い。
由梨さんはコーヒーを受け取って、
先に戻る。
俺もコーヒーを入れて仕事モードに戻る。
机の上にはまだまだ山積みな仕事。
リビングの方では、苦戦してる湊くんと結菜ちゃんの声。
時々聞こえる、美夜とクロくんの声。
…俺も早く美夜とゆっくり話したいな。
そう考えながら、
話し合いをまた進めていく。

