てか、ここで聞くのかよ。
そう思いつつ、どう答えるのが正解なのか考える。
隠しても意味はないか。
「数年前にね。今はこうして仕事仲間だけど。」
そう答えた瞬間の、美夜の動きが一瞬止まる。
でもそのあと何もなかったかのように動き出す。
気のせい…?
「そうすっか。仲良さそうだったので気になって聞いてしまいました。」
そうクロくんは答えて、
美夜が注ぎ終わった第一弾のカップを運んでいく。
「美夜、手伝うよ?」
クロくんのいなくなったキッチンで美夜に話しかける。
返事はない。
「美夜?」
回り込んで顔を覗き込んでみる。
「大丈夫ですよ、ほら、終わりましたから!」
美夜が笑顔で目を合わせてくる。
笑顔…
でもなんかいつもと違う…?
そう思って話しかけようとしたけど、
美夜はスルリと俺の横を通り抜けて、
結菜ちゃんの方に行った。
…明日みんな帰ってから聞いてみようか。
小さくため息をつく。

