自分じゃはちみつの香りが気にならなくて、
それよりも椎名さんの香りに意識が持っていかれる。
さわやかな香水の香り。
椎名さんの部屋にいくつか置かれているうちの1つかな?
なんて思いながら、もっと近づきたいな…と椎名さんの方を振り返る。
椎名さんはクロくんとの会話で気づかない。
下から椎名さんの顔を覗き見ると、
やっぱりカッコいい。
私はしゃがんだまま少し体を伸ばして、
椎名さんの首筋あたりに顔を埋める。
その瞬間、椎名さんの動きが固まる。
…嫌だった?
と下から椎名さんを見上げると、
椎名さんは驚いた顔で私を見てて。
それがなんだか珍しいし、面白くて。
私は思い切り椎名さんに抱きついて、顔を埋める。
椎名さんの香り、体温…
心地いい…
「ちょ、美夜!」
「…ん?…ダメですか?…いや?」
咎めるような椎名さんの声に不安になってそう聞く。
「そうじゃなくてっ、みんな見てるけど…美夜大丈夫?」
みんな…?
見てる…?
っ!!!

