湊に勉強を教えつつもやっぱり三人が気になって、後ろの会話に意識がいく。
「だから、私は譲らないわよ。ここのデザインはこうがいいの。」
「ちょ、だからそうすると間に合わないって〜、晴翔なんとか言えよ〜」
「わかった。間に合わせる。」
「ええ〜…俺がみんなに怒られる…」
何かの納期の話かなぁ。
あの感じだとまた忙しくなるんだろうなぁ…
家に帰るのも遅くなるのかなぁ…
「おい、」
家での椎名さんを独占できる時間が…
仕方ない、お仕事だし…
「あーもう!美夜!!」
「わぁっ!」
私の驚く声と同時に何かが大きな音を立てる。
「美夜!」
椎名さんが駆け寄ってくれる。
「だ、大丈夫です!すみません!ごめん湊、ぼーっとしてて…って、わぁ、ごめんなさい、グラスが…」
私の服と床に広がるオレンジジュース。
そして、私のためにと用意してくれたお気に入りのグラスが欠けて床に落ちていた。

