「あらま!」
美佐子は保健室のソファに居座っている俺を見てそう声を上げた。
それはそうだろう。
「魁が2日連続で学校に来るなんて…しかも今日は午前から」
「…今日はやることが無かっただけだ」
「そんなのいつもでしょ」
そう笑って、美佐子はまたパソコンへと向かった。
…自分でもなんでまた学校なんざに来てるのか、はっきりと分からなかった。
ただ、1つの心当たり。
あの"陽那"とかいう女…無性に気になる。
なんでここまであの女に固執するのかは分からないが、何故か気になるんだ。
そんな自分を咎める程、俺は我慢強くは無いから、本能に従って学校に来た。
昨日はまともに眠れなかったから、保健室のこの環境は打ってつけだった。
「あら、ソファなんかで寝て…ベッドでは寝ないの?」
「…別にいい」
「あらまぁ」
ソファに横になって目を瞑る。
…なんとなく、美佐子からの視線を感じた。
「…んだよ」
「…陽那ちゃんはねぇ、結構病弱だから、ちょくちょくここに来るわよ」
「…だからどうしたってんだ」
「…なんでもないわよー、っと」
俺も馬鹿じゃねぇ、美佐子の言いたいことは嫌でも分かった。
からかわれてんだ、俺は。
俺をからかえる人間なんて、こいつくらいのモンだろう。
…しかし、あの女、ここに来るのか。
そう考えると、どくん、と心臓が跳ねた。
…黙れ、心臓。
昨日のことは、多分俺は最近女に飢えてたからだ。きっと、そうだ。
最近は女より喧嘩、だったから。
そんなことをうつらうつらと考えていると、次第に自然と瞼が重くなってきた。
意識も遠のいて来た、その時、
保健室のドアが小さく開いた。
