大賀君は……なにかを試しているの?


腿の上にのせた拳に、ぎゅっと力を入れた。

「……大賀君のほうが私といるのが嫌になったら、いつでも別れるから。だから、もう少し、一緒にいたい……」


「どんだけ自分のこと下げんの?」


目の前の大賀君は、私なんかよりずっと傷ついたみたいな顔をしていて、その声は冷たく……がっかりしているように聞こえた。


そんな表情をさせたいなんて、私は微塵も思っていない。


だけどきっと、全然届いていない。


「大賀君が……大好きだからだよ」


「んー……。やっぱわかんない。なんで俺なの?歌聴いて惚れたくらいなら、たいしたことないじゃん。ファンみたいなもんでさ」


そんなこと言わないで。

私の気持ち、見くびらないで。



「……じゃあ大好きよりもっと上のこの気持ち……どうやったら伝わるの?」



大賀君が狼狽えるのも無理はない。ボロボロと涙がこぼれているから。



もうこれのどこが、“普通の女子校生”なんだろう。全然違う。


こんなとこ、大賀君に見られたくないのに。