「あの事故はね……青信号の横断歩道に、信号無視のトラックがつっこんできたの。……わかるよね?」


無理やり絞ったみたいな、消えそうな声。


「……あなたたちも、蓮も、なんにも悪いことしてない……っ」


おばさんは泣き崩れてしまった。
床にへたりと座り込むその肩を、私たちは泣きながら支えた。


「トラックの運転手は、実刑二年六月。刑務所に二年半。たったの二年半で出てきたの。一生重たい十字架を背負うべきは、ソノヒトだけ……。死んでも償いきれないことをしたのは……ソノヒトだけなのよ」


おばさんの暗い声が、心にじんじんと染み込んでいく。


「だからあなたたちは、そんな小さな体で、十字架を背負う必要ないから……。もう前を向いて歩いてほしい……」


無理やり作った笑顔が、蓮のに、似ていて……。


「ううん……背負います……」


私は泣きながらそう言った。


「私は一生背負っていきます……。蓮の命の重みを……ずっと」


蓮が命がけでのこしたもの。絶対に忘れない。


「おばさん……顔あげて……?」


どうしても、言いたいことがあるんです。


「なぁに……?」と、昔みたいに優しい声で、だけど泣きながら、おばさんは言う。