そんな私たちに、おばさんはそっと手を差し伸べた。


「もう……やめましょう?」


その笑みを作ろうとした唇が震えている。


「あなたたちは、悪くない。葉由ちゃんを追いかけたのも、蓮の意志なんだから……。蓮は、本当にむかしっから、葉由ちゃんが大好きだったから」


「うぅ……っ」


手をひかれて、立ち上がる。


そして、おばさんの手は、はーくんに差し伸べられた。


「千颯くんのこと、蓮っていっつもライバル視して、本当に大好きな、一番の友達だったよ。こっちから聞いたわけでもないのに、いつも楽しそうに千颯くんの話をしてくるんだからね、あの子……今でも思い出す……」



私たちは玄関で涙を流したまま、おばさんを見ていた。