病院についてすぐ、蓮の死亡が確認された。


救急外来の待合の片隅。
医療関係者は慌ただしく出入りする。


泣き崩れている蓮の両親のところに、白衣を着たおじさんが来た。


「あと、ご遺体は、警察のほうでも一応確認がありますので」


なんで?


なんでそんなに普通のことみたいに言うの?


蓮が死んだのに。さっきまで生きていた蓮が。


……“ご遺体”ってなに?


そんなのってあんまりだ。


……なんで?



「……なんでぇ……っ!!」



泣き叫んだ葉由の声は今でも脳裏に焼き付いている。



泣きじゃくり、叫ぶ葉由を、抑え込むように抱きかかえた。



がたがたと震えながら泣き崩れる葉由は、俺の腕の中で「蓮が……死んじゃった」と小さく叫んだ。



「やだぁぁ……っ、あぁぁーーーー……っ!」



絶叫するように泣き叫ぶ葉由を押さえながら、俺は止まらない涙を流し続けた。