「大賀君と付き合って、葉由変わったね」


「え?」


「自分の気持ちはっきり言うなんて、前は絶対にしなかったもん。大賀君すごいじゃん。付き合ってよかったね、葉由」


栞ちゃんが大賀君の前であえて、彼に聞こえるように言った言葉。


暖かすぎて、泣きそうになる。


「うん。付き合えてよかった」


大きめの声でそう言いきって、私たちは教室に入った。



大賀君の方は、恥ずかしくて振り向けなかったけど。



出来れば。暖かく響いていたらいいな……って、私は、本当に。



……あまりに、呑気だった。