大賀君の手を、私はそっとつかんだ。


……だってもう、折れてしまいそう。


大賀君。


「もう……彼女じゃなくていいよ」


大賀君がこんなに悲しくなるなら。
彼女にしてなんて、もう言わないから。


「……ごめん」


謝らないで。
……誰も責めてなんかいない。


私は首を横に振る。
手を離し、涙を拭う。



「大賀君と付き合えて夢みたいだった……」


また、涙……。

大賀君の顔が全然見えない。



唇の端と端。
私は一生懸命上げる。


これ以上泣かないように。


「……一カ月間、ありがとう。大賀君」


大好きになって、ごめんなさい。